old air rhyme
凪~sur-round
あ・し・あ・と
spring      summer     autumn     WINTER
 四季の中でもっとも海が静寂に包まれる季節。
 海面は凪、海の中はその冷たさと相まって何処と無く深々とした穏やかさに満ちている。透明度もこの時期は格別である。そして水も青い。
 相模の海が面白いのは正にこの時期があるからこそなのかと実感する時がある。夏の華やかな時も良いが、冬の閑散とした静けさ、しかしながらその静けさの中に生きる生物は実に多く、彼等の密やかではあっても堅強に響く鼓動もまた、相模の海ならではの魅力であると感じる。
 夏の様相とは違い水温が下がるのと同時に海中にはホンダワラやカジメ、アラメにワカメなどの海藻が林の如く蔽い茂る。それは水中に差し込む冬の柔らかな日差しと共に見事な景観となる。そしてその中に宿る生物達にも自ずと目が向く。同時に深海性の生物や冷水を好む生物たちにもこの海が恵まれていることに気付かされるだろう。
 そんな冬の海がダイバーを魅せてくれる。
 ダンゴウオ、スナビクニン、マンボウ、アオリイカ、キアンコウ
ススメダイ、ネンブツダイ、イサキ(yg)
ネコザメ、ドチザメ、ツバクロエイ
ミノカサゴ(ad)、ガラスハゼ(yg)、オキゴンベ(yg)、
セミホウボウ(yg、ad)、ホウボウ(yg、ad)、
ヒラメ、カレイ、ベニカエルアンコウ
コガネミノウミウシ、ムカデミノウミウシ、セスジミノウミウシ
シロウミウシ、シモダイロウミウシ
ハナショウジョウウミウシ、ヒロウミウシ、ミヤコウミウシ
スウィートジェリーミドリガイ、アズキウミウシ、コノハミドリガイ
etc
  
ダンゴウオ
マンボウ ネコザメ(yg)
 冬の名物詩、ダンゴウオ。出始めはまだ1ミリにも満たない大きさ。だが春になるまでに2cmほどに成長する。エツキイワノカワという海藻の上で発見される事が多い。
 その体形や愛くるしい動きに人気が集まる。
 冷たい冬の海に正にこれだけを目当てに潜られる方もいるほどだ。
 不思議な形をしたお魚さん、マンボウ。
 この名前を知る人はダイバーでなくとも多いはず、ただ実際海中でその姿を目にするのはかなり奇跡に近いかもしれない。
 水深10m、ペアーでゆらゆらとやって来て、アッという間に通り過ぎて消えていった。思いのほかちゃんと泳いでいた。
photo by hideaki sawai
 冬も半ばになり、水温もそれなりに下がり出した頃、砂地やら岩陰やらで姿を見かける事が多くなる。
 大きな背びれや胸鰭が特徴的なことと、やはり名前の由来でもある“猫目”が何ともいえないほどキュート。
 所謂“サメ”とは一線を画する存在かと(勝手に)。模様も奇麗。
ハナミノカサゴ(yg) ネッタイミノカサゴ(yg) ムスメウシノシタ
 秋から冬にかけて登場するハナミノカサゴの子供。
 “ハナミノ”というだけの事はあって特に成長すると艶やかな雰囲気を持つ。眼上にある独特の被弁や模様そして胸鰭の付け根上部にある白い斑紋が主な特徴。
 子供であっても他には無い何処か妖艶な佇まいに魅了されてしまう。
 南方系のミノカサゴで小型のタイプ。特徴的なのは胸鰭の根元から棘条部半分にかけて膜が張っていることで他のものと区別が出来る。
 この写真の固体はまだ幼魚で3センチほど。岩壁に張り付くように構えていた。
 この種の中では一番可愛いかもしれない。(あくまで個人的な感想)
 通年性ではあるが冬になると岩の上や砂地で数多く見かけるようになる。
 写真は10cm程度。殆ど動かず岩肌に擬態している。
 見た目はかなり地味でなかなか話題にも上らないが、一度目にしてしまうとなんか気になってしまう存在。特に“目”。
 
イロカエルアンコウ(yg) ハナミノカサゴ(yg) ホリキヌヅツミ
 わりとこの辺りではお目に掛かり難いカエルアンコウの仲間。
 第一背鰭が変形してリーゼント風?の角のようなものとなり良く目立って特徴的。円らな瞳をくるくるさせながら岩壁に潜み獲物を待ち受ける。
 色彩変異が豊富だがあまり擬態をしている風ではなくむしろよく目立つ色合いだ。
 ミノカサゴの仲間でそもそもは南方系に属する。
 最近ではこのあたりでも年に数個体は見かけるようになった。ただやはり個体数は少ない。
 普通のミノカサゴに比べてどこか―幼魚であっても―妖艶な雰囲気を醸し出しているのが何よりの印象。また鱗や側線の状態、眼上部の被弁や胸鰭の形状でも本種と容易に判断が付く。
エダムチヤギに寄生するウミウサギの仲間。
 ウミウサギの中でもなかなかの擬態名人かと思われる。宿主に似せた色合いと更にポリプにそっくりな皮弁を施した外套膜を身に纏っている。しかも白いフサフサは引っ込めることも可能。
 実に上手く出来ている。“あっ晴れ”なのだ。
コマチコシオリエビ
(yg)
イソバナカクレエビ ユウダチタカノハ
(yg)
 ウミシダに棲息する―名はエビだが異尾種―ヤドカリなどの仲間。
 宿主にあわせ体色を変えられるらしく、宿を変えれば其の色に徐々に順応していくという。
 写真のものはどちらもまだ幼体―上5mm、下7mmほどの大きさ―ではあるが、ハサミ足は大人顔負けでしっかりとしている。それのアンバランス故に何とも言えない奇妙な可愛さがある。
 ヤギ類に棲息。非常に小さく且つ巧妙に擬態しているのでなかなか見つけにくいが、一個体見つかるとその傍に何個体も、時には数珠繋ぎに連なっていることに気が付く。更に宿主の色に合わせ色彩変異もあるようだ。
 その容姿から何か虫の様にも見えるが、よく見るととても繊細で綺麗。まるでガラス細工ヨロシクなのだ。
 割りと深いところで見られるタカノハダイなどの仲間。個体数は少ない方でここでは年に1個体見られるかどうかである。
 大人になると白地に黒のストライプが際立ち、それなりの貫禄と雰囲気を醸し出す、少し異彩を放つ存在に感じられる。
 ただこの時期はそれとはまた違い、滲み出るあどけなさに目を惹かれる。
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